完全に分解して次のようなことがわかりました
1. ジャックとマザーボードの接続部(ハンダ付け)は外れてはいませんでした。
2. ジャックとマザーボードは接続端子の3箇所でハンダ付け接続されているだけでした。
3. このため、ジャックとマザーボードとの物理的な強度不足がみられ、ジャックを動かすと、少しぐらつく感じがしました。
下の写真は、ジャックを取りはずした後のアップです。ジャックの接続用端子が入る穴が見られます。これだけでジャックがマザーボードに接続・固定されていることがわかります。
ジャックを取り替えるために、電子パーツ屋さんへ買出しに行きました。
同じものはないので、ACアダプタのプラグが入るのを確認して、下の写真のジャックを買ってきました。
帰って、マザーボードに合わせてみると、
端子が取り付けられるような形状になっていなくて、思案投げ首です。
無理やり取り付けても、以前以上に物理的強度がないと判断しました。
ここで、原点に返り?なぜ電源が入ったり入らなかったりしたかの究明が出来ていなかったことに思いつきました。
冷静に考えると、ジャックに異常はなく、端子とマザーボードとのハンダ付けや、基盤のパターン剥離は見られなかったのですから、たんにジャックの取替えで解決することではなかったのです。
そこで、原因を探るべく、テスターで導通検査を始めたのです。
ジャックの取り付け穴と、これにつながっているはずの電子パーツとの接続を調べましたが特に異常は発見できませんでした。
思案の末、ふと思ったのは、すでに取り外したジャックの端子部分と、ACアダプタのプラグが入る部分との接続導通でした。
テスターで計ってみると、導通がないのです。「そんなばかな」と思いながらさらに確認しましたが間違いありませんでした。
これで原因が突き止められました。
下は、新規購入したジャックですが、内部のACアダプタと接触する金具と基盤にハンダ付けされる端子金具がハトメで接続されています。
それぞれの金具はハトメも含めて銀メッキされていて、電気的な接触は良好だと判断できるのです。
一方、もともと使われていたジャックはニッケルメッキされた、これよりも品質は劣るものでした。
結論:
ACアダプタを何十回となく抜き差ししているうち、ジャックの取り付け強度不足から、ジャックに無理な力がかかり揺さぶられ、それがハトメでとめられていた電極の接触不良につながったものと断定しました。
これは、明らかにNECの部品選択とそれに伴うマザーボード設計ミスだと思われるものです。
製造原価を下げるために味噌もくそも同じように扱った結果ではないでしょうか。
新規に買ったジャックはわずか50円でした。もともと使われていたジャックはメーカーにとっては10円にも満たなかったのではないでしょうか。
このために20万円近いパソコンがほとんど無価値になってしまったことの罪を考えて欲しいと思います。
ちなみに,IBMのThinkpadのマザーボード上のACアダプタのプラグ受け(ジャック)は
下の写真のような構造と、取り付け方でした。
ジャックの目的とPC使用状態がどんなことか十分に認識している設計ではないでしょうか。
電気的な接続とは別に、取り付け強度を測るために金属性のカバーで覆い、そのカバーを基盤に4箇所でしっかりハンダ付けされています。このような方法をとるIBMとNECがPCに対する設計思想の違いがわかります。
IBMはPC部門をレノボに売り渡し、パソコンから撤退してしまいましたが、
まさに「悪貨」は「良貨」を駆逐する典型を見る感がしました。
「レノボ」や「NEC」の製品がこの部分が現在どうなっているのか、興味のあるところです。
まさか改良?されていないとは信じられませんが・・・・。
ー 修理結果 ー
原因究明を果たしましたが、これを解決する方法は、お粗末ながら、次のようなものでした。
ジャックを本体基板に取り付けるのは断念しました。
結論は、下の写真をご覧いただければ一目瞭然でしょう!
これで組み立てしなおし、問題なく動作していることをご報告して、
本テーマを終えることにします。
ー 追記 −
ただし、お客様にこの方法で「修理ができました」と2万円の修理代金をいただくわけには行かないでしょう?。で、私の自家用サブマシンの一つになっています。
やはりメーカーに出すと、「マザーボード交換することになりそうです」
修理代は数万円が必要でしょう。と・・・・。
このPCの修理を依頼された方は、新しいPCを購入されましたが、
あなたならどうします?。